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デュアルロール(ヘイローフジ22)スペシャルレポート

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5月下旬の福地トレーニングファーム。取材当日はあいにくの雨模様だったが、かつてナリタブライアンやビワハヤヒデ、近年ではモーリスやジャガーメイル、サクセスブロッケンなどを鍛え上げた旧早田牧場跡にあるゴールドアップカンパニー内の屋外坂路コースを、デュアルロールが先頭で駆け上がってくる。適度に水分を含んだこの日の馬場は一見すると滑りやすそうにも見えたが、そんなことは意に介さず、前脚が高く、遠くへ伸び、深く踏み込む後躯がウッドチップをしっかりと捉えて筋力を推進力へと転換させている。こんな馬場状態で回転の速い大きなストライドを繰り出すのは、よほど体幹がしっかりとしていなければ出来ない芸当だ。

「入厩当初からバランスの良さが印象に残る馬でした。5月生まれということもあって、現状は少しトモ高で子供っぽい体付きですが、精神的にはすごく大人びたところがあって、単走でも気を散らすことなくしっかりと走ってくれます」と紹介してくれたのは同トレーニングファームの福地幸一代表だ。新ひだか町の名門牧場で10年以上も場長を務め、2005年に独立。現在は「自分たちを支えてくれる方々への恩返しは、預けてくれた馬を良い状態で次のステップへと送り出すこと」という理念を心に刻み、8人の騎乗スタッフを含む約10人で35馬房を管理している。

写真や動画でご確認いただけるように、本馬は父モズアスコットのシルエットを十二分に受け継いだグッドルッキングホースだ。「成長していく過程でバランスが崩れる馬が多い中、この馬は第一印象で受けたバランスの良さが大きく崩れることなく、そのまま成長してくれた」と目を細めている。膝下が短く、程よい長さの繋は蹄と球節を理想的な角度で支えており頑丈だ。狂いのない四肢に支えられる上体は5月上旬時点で470kgを超え、月齢的な標準を超えるほどの馬体にまで成長。骨量にも恵まれた栗毛の馬体には、父や祖父フランケルゆずりとも言える発達した筋肉が備わっている。

軽い肩捌きと力強い踏み込みとともにウォーキング動画で注目してほしいのは耳。どっしりと構えて落ち着きのある性格が、こんなところにも表れている。また、力強い腰から尻へと流れるライン、中でも後ろから見たときのトモ幅にもご注目いただきたい。骨盤から大腿骨周辺には十分に発達した筋肉が備わっており、容量の大きな後駆は豊かなパワーを感じさせるものだ。

この日の調教メニューは、屋外1200mウッドチップ坂路でハロン17秒を目安に1本と、1000m屋内ダート坂路1本。最後は15-15を楽にマークして、涼しい顔をしていた。厩舎に戻って鞍を外されるころには、もう息が整っている。そんなデュアルロールを前に「屋外坂路では、すでに12秒台を経験している馬ですから、今日のメニューは、この馬にとって苦しいという内容ではなかったと思いますが、今はまだ馬体の成長期。速い時計は出そうとすればすぐにでも出ることは分かっているので、無理する必要はありません」と現状に満足そうだ。聞けば、騎乗馴致をスタートさせたときから「先頭でグイグイと引っ張るタイプ」だったという。一般的に調教を始めたばかりの馬というのは前進気勢に物足りなさを感じるものだが、この馬は少し違っていたそうだ。「いつも先頭で引っ張ってくれるので、この馬のおかげで思うような集団調教ができました」と頼もしそうに語る。

そんな話を聞いて、デュアルロールは「走ること」や「体を動かすこと」が本質的に好きな馬ではないか、ということが頭に浮かんだ。

そんなデュアルロールを、福地代表は「優等生」と評する。「1歳秋のブレーキングから担当させてもらいましたが、物覚えが良くて、手を煩わされたことはほとんどありませんでした。騎乗馴致をスタートさせたあとも「手先が軽く、しなやかな動きをする馬で、こちらが与えたメニューをあっさりとこなしてくれた」と絶賛。加えて「この馬は兄姉に比べると仕上がりは早い方だとは思いますが、基本的には晩成の血統。以前はペースを上げるとカイバ食いが遅くなることがありましたが、ここにきてそういった面も解消されつつあります」というから心強い。今年の夏も猛暑が予想されているので移動時期には頭を悩ましそうだが、「馬体に未完成の部分が残っています」というから、焦る必要もなさそうだ。

本馬の父は、この世代がファーストクロップとなるモズアスコット。3歳7月の初勝利から4連勝でオープンに駆け上がると、重賞初勝利を翌年春に芝の安田記念で飾り、6歳時には根岸ステークス、フェブラリーSとダート重賞を連覇した〝二刀流〟だ。2021年に種牡馬となるや、その初年度から167頭もの繁殖牝馬を集めた。昨年までの3年間でのべ400頭以上の繁殖牝馬に配合する人気種牡馬となり、昨年の1歳市場では3000万円を超える価格で取引される産駒もあった。管理した矢作芳人調教師は同馬がスタッドインを果たした年の種牡馬展示会において「筋肉量が豊富な馬で、キーンランドのセプテンバーセールでひと目惚れでした。現役時代も連闘で安田記念に勝利したタフな体質、初めてのダート実戦となった根岸ステークスは常識的には厳しいものだったと思いますが、それでもしっかりと難題をクリアしてくれた」と愛馬を讃えている。

加えて、活気ある母系も強調材料だ。兄に淀短距離Sを制し、シルクロードSで2着と健闘したローレルベローチェがいて、姉シャイニングフジは現役の準オープン馬。そして、何よりも芝、ダートを問わずに芝1400mで6勝を記録した母ヘイローフジがおり、叔母に秋華賞2着キョウワジャンヌがいるという豪華ファミリーが心強い。

「縁あって兄のキングオブフジ(現1勝クラス)もお預かりしていましたが、ヘニーヒューズ産駒の兄は力強い馬でした。デュアルロールは手先が軽くスピード感ある動きをしますが、バリバリのスプリンターかと言われたら少し違うような気がします。ある程度の距離はあった方が持ち味が生きると思いますし、力強さと柔らかさを兼ね備えていることからダート競馬に対する高い適性も感じられます」と福地代表が結んでくれた。その言葉通り無限の可能性を秘めている本馬の行く末が、今から楽しみでならない。

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