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2023年産当歳募集馬レポート②

募集馬情報

④ファーストチェア23 ドバイデューティフリー、宝塚記念、ジャパンCを制したアドマイヤムーンの妹であるファーストチェアの産駒が募集されたという知らせに、胸を躍らせながら村田牧場高江分場へと向かった。8月に撮影した写真ではあどけない感じだった顔つきが少女らしくなっていたが、それ以上に驚かされたのが馬体の成長だ。骨格がガッシリし、身体全体に肉が付いてたくましさすら感じさせる。以前は典型的な鹿毛らしい茶色だった産毛が抜けて黒みを帯びてきた事もあり、「綺麗で好バランスな馬体」に「迫力と威圧感」が加わってきた。専務は「父の産駒は少しすっきりとした馬体の馬が多いような気がしますが、この仔はちょうどよい身体つきですね。極端には大きくならず、中型馬くらいに成長するのではないでしょうか。兄姉は早期にデビューしている馬が多いですが、馬体の雰囲気からすると芝の二千前後が良さそうですし、番組的にも2歳夏からという感じではないと思っています」と予測している。たしかに、放牧地での本馬は手先の軽さや柔軟な動きが目立つ。スピードが上がるにつれて一完歩の伸びがグンと大きくなり、ターフの上でこそ持てる資質を発揮してくれそうだと思わせるのだ。自身こそ未勝利だったものの、繁殖入りしてから活躍馬を輩出している母ファーストチェアについては、「父ハービンジャーのヴァフラームが芝中距離を5勝、父ヘニーヒューズのフルデプスリーダーがダートマイル・千七で6勝など、母は配合した種牡馬の適性をしっかりと出す傾向があります。この仔も父サートゥルナーリアの資質をしっかり受け継いで芝のマイル以上で走ってくれるのでないかと予測しています」と評する。また、精神面については「早生まれなので、同世代では最も早く離乳を行ない、こちらへ移動してきました。気性面も大人びていて、僚馬のなかで一番落ち着きがあります」と教えてくれた。心身ともに秀でた本馬が、クラシックディスタンスで大きな仕事をしてくれる姿が、今から目に浮かぶ。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら


 

⑤フルマークス23 カタログ掲載の血統解説執筆時には優勝馬が2頭だったレイデオロ産駒だが、9月以降は徐々に頭角を現しはじめており、10月29日時点ではのべ9頭が勝ち上がっている。マイル戦で2頭、1800m戦で2頭、そして2000m戦での3頭が加わった産駒勝利数を見ても、クラシックディスタンス向きの種牡馬ではないかとの推測が証明されつつあると言えるだろう。松浦牧場社長も「レイデオロは、これから良績が出せる血統だと信じています」と期待を寄せている。同馬の産駒がこれからどんな走りを見せるのか、注目していきたい。さて、フルマークス23がいる放牧地へと案内され、僚馬とともにのびのびと過ごす様子を見せてもらった。突然、一羽のカラスが放牧地に入り込み、なぜか青草すれすれの超低空を滑空する。驚いたり警戒して遠ざかろうとする仲間もいるなか、本馬はカラスを追いかけるように走っているではないか。好奇心旺盛なだけでなく、度胸がありそうだと感心していると、「ほんとうに気が強くて活発なんです」とスタッフが話す。カタログの解説でも触れられていたが、「あまり身体を触られるのが好きではなく、触ろうとしたら噛もうとします。実際、私も社長も何度も噛まれました」と苦笑しながら教えてくれた。放牧地を走りながら後ろっ跳ねしたり、後ろ足で立ち上がったりする様子は元気一杯で、スタッフの手を焼かせる行動ではあるものの、なんだか頼もしい。そんな本馬の馬体は、前後から見るとやや薄手だが、横から見ると8月に撮影したカタログ写真より一層胸が深くなり、トモの筋肉量も増している。「前にも言いましたが、長腹短背で良馬の典型とされる体型ですね。首も長め、左後一白で、見るたびに期待がふくらみます。もう少しトモ尺(前後方向への幅)が出てくれば理想的です」と社長が嬉し気に評する。緩やかなスロープがある広大な放牧地を駆けまわって僚馬と切磋琢磨しつつ、より充実した馬体へ進化する本馬の成長を、今後も楽しみに見守りたい。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら


 

⑥デフィニール23 川島牧場の放牧地へ赴いた直後、ひときわ恵まれた馬格を誇る本馬に目が留まった。案内してくれた社長は「立派な馬体でしょう。生まれた頃は普通サイズでしたが、現時点では同世代の牝馬のなかで一番大きいです。胴伸びがあって節々もしっかりしており、飛節も立派。とにかくすごい成長力ですね」と目を細める。見慣れぬ訪問客を興味津々で見つめていた僚馬たちがゆるやかに走りはじめると、集団の後方からスタートした本馬が馬群を縫ってまたたくまに先頭へ躍り出たが、その途中で披露した後ろっ跳ねや前肢のかき込みが迫力満点だ。「馬体が立派な分、気性も立派です。手は十分にかけているものの、かなりの暴れっぷりを見せます」と社長が苦笑するが、これまでの川島牧場産馬、特に牝馬は激しい気性のお転婆が多かった事を思えば、前向きな気性の持ち主として典型的と言えるかもしれない。むしろ、その動きの力強さに圧倒されたという筆者の感想に「そうですね。身体つきからすると芝で走りそうですが、これだけパワーもあるのでダートでもいけそうです」と話してくれた。本馬の父であるシャンハイボビーは、芝・ダート兼用で短距離戦を得意とする産駒を多く出しているので、ますます二刀流での活躍を期待したくなる。父が日本で供用されはじめた年に川島牧場のタッソーニーを配合して生まれたモンサンスヴニールは、夏の福島・芝1200m戦で新馬勝ちを決めている。「この仔を含めて、父の産駒は馬っぷりが良く、馬産地での人気が上がってきています」と社長が話す通り、日本で供用開始となってから、5年連続で100頭前後の種付け頭数をキープし、2023年は137頭と交配している。そんな人気上昇中の父を持ち、祖母ローレルデフィー、母デフィニール、そして本馬と、三代連続になるクラブゆかりの血統馬が、リーズナブルな価格で募集の運びとなったのだ。まずは母を、そしてJG1にまで駒を進めた祖母を追い越すような活躍を期待したい。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら


 

⑦アドマイヤカグラ23 本稿を執筆するにあたり、取材に備えて筆者が書庫から探しだしたのは本誌340号。本馬の姉であるアドマイヤカグラ17ことローレルアイリスの育成時代を取材したレポートを見たかったのだ。見比べてみると、本馬の顔は輪郭や雰囲気が姉によく似ている。そして姉妹の顔はどちらも、母の父であるスペシャルウィークに似ている事に気づいた。取材に立ち会ってくれた新冠橋本牧場社長は「流星の模様と眼つきが違いますが、姉妹ともに上品な顔立ちで、似たところがありますね。姉は穏やかな顔つきで気性も大人しかったですが、この仔は上品ながらもややキツく、その顔つき通りに気が強いです。普段からピリッとしたところがあって、物事に対して敏感に反応するし、その動きが俊敏なんです。馴致されて今はしなくなりましたが、以前は知らない人が近づくと跳んで逃げていくほどでした」と教えてくれた。また、馬体や動きについては「背筋に芯が通った身体つきで、運動神経が良く、動きが素早いですね。そのあたりがドレフォンの仔という感じです」と評する。加えて、無駄肉が付きにくいスレンダーで胴伸びがあるボディラインは父ドレフォンと母の父スペシャルウィークに共通する特徴と言えよう。「ローレルアイリスもアドマイヤナイトも、身体つきだけ見ると短距離馬ではなかったです。アイリスは背中から腰にかけてのラインにおうとつがあったけど、この仔は背中のラインに曲線が少なく綺麗で、骨格的にはアドマイヤナイトを脚長にしたイメージですね」と評する。そのアドマイヤナイトは4勝、兄キングラディウスは中央3勝と地方9勝を挙げた。そしてローレルアイリスは中央3勝後に重賞戦線へと駒を進め、その後の活躍を期待されながら無念のキャリア途絶となったのだ。あらためて僚馬と軽やかに駆け回る本馬に目をやると、スロープのアップダウンで器用にフォームを変えつつ、全身を使った俊敏な動きに目を奪われた。そんな本馬なら、きっと姉ローレルアイリスの無念を晴らしてくれるに違いない。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら