①アビーム23 毎年のように、生まれて初めての夏を越した当歳馬の成長ぶりに驚かされる。7月に撮影したばかりのカタログ掲載写真を脳裏に描きながら放牧地へ向かったのだが、それからわずか2カ月しかたっていないのに、表情も馬体もグンと大人びていた。社長も「生まれたばかりの頃はがっちり体型だったけど、すでに身体に伸びが出てきましたね。身体にしなやかさがあるし、毛ヅヤも最高でしょう」と誇らしげに評する。本馬を称賛するのは生産した当人だけではない。「毎月視察にきてくれる杉山先生は、控えめで馬をそれほど褒める人ではないというイメージですが、この仔については手放しで喜んでくれます」と社長が教えてくれた。直近の視察時には、「身体が柔らかいので歩きに粘りがあって、しっかりと地面をとらえて歩く感じ。固さがみじんもないだけでなく、悪いところがないですね。2歳の夏からとか早期のデビューにこだわる事なく、大事に育てていきたいです」と話したという。社長は「杉山先生がこんなに褒めるのはめずらしいし、この仔の未来予想図を語っている姿が実に楽しそうでした」と笑顔を見せた。あらためて放牧地でたたずむ本馬に注目すると、7月にはまだ残っていた茶色がかった産毛がほとんど抜け、皮膚の薄さが際立って漆黒のビロードのような毛ヅヤが冴える。そして、僚馬とともにゆったりと走りはじめると、単に「素軽い」というのでは物足りない、優美という言葉すら連想させる動きに魅了された。窮屈なところがまったくないバランスのとれた馬体、毛色、精悍で品がある顔つきなど、ディープインパクトに続いて史上3頭目となる無敗の三冠馬に輝いたコントレイルの血を色濃く受け継いでおり、「とにかく大物感たっぷり!」という社長の短評通りのオーラを漂わせているのだ。当クラブで4勝を挙げてオープン馬となったアビームが母として送り出した本馬が、これからどのように成長し、そして豊かな資質を開花させていくのか、楽しみでならない。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら
②サトノジャスミン23 純白に輝く美しい姿を見ると、ついつい「お姉さんそっくり!」と思ってしまうが、この姉妹を日々注視している社長が、2頭の違いについて詳しく教えてくれた。「姉の馬体はゴールドシップによく似ているけど、この仔はちょっと違っています。無駄な肉が付きにくいタイプで骨格もゴツゴツしておらず、父の父であるステイゴールドを彷彿とさせますね。頭が小さくて、身体のバランスが良い感じに成長してきています」という。続けて「姉は可愛らしい顔をしていますが、この仔はいかにもお転婆娘という強気な顔です。顔つき通りに闘争心も強くて、いつも戦闘態勢にあるようなピリッとした気性だけど、母のようにすぐテンションが上がるような事はないので、頼もしいですよ。気性面はステイにもゴールドシップにも通じるところを持っていると思います」と評してくれた。あらためて最新のカタログをとりだし、P18とP58、さらにP20とP60をずらしながら見比べてみて、社長の解説に深くうなずいた次第。続いて、放牧地での様子を見ながらお話をうかがうと、「ダート馬によく見られるような身体の硬さがないし、歩きを見ても芝に適性がありそうだと感じています」と解説してくれた。たしかに、ゆったりと歩いているだけでもしなやかに首を上下させ、踏み込みや送りなど四肢の動きが実に柔らかい。僚馬たちとともに走りはじめてスピードが上がると、グッと重心が低いフォームへと変わり、馬群を縫って楽々と先頭に立つではないか。時折急なターンをする際には、こんなに身体がしなうのかと驚かされる。ステイゴールドが現役時代に担当されていた厩務員さんからうかがった「こんな角度で口が届くわけないと思っていても、身体と首をグッと曲げて噛んできます」というエピソードを思い出した。ステイ譲りの柔軟な馬体に加え、ステイとゴールドシップ双方から受け継いでいるであろう「ここぞという場面での勝負根性」を発揮して、いずれはターフの上で目覚ましい走りを見せてくれるに違いない。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら
③カツンダモン23 グランデファームの生産馬を語るには、血統について造詣が深く、独自の血統理論を持つ社長のお話が欠かせない。本馬についても、まずは配合のこだわりについてうかがった。「母父エンパイアメーカーが持つIn Realityのクロスを、父インディチャンプの母方で増幅させているのが配合ポイントです。会員の皆さんがよく目にするのは5代血統まででしょうが、うちの生産馬の場合はさらにさかのぼって調べるのが通例です。この仔の場合も、8代血統まで見渡してピンときた面白い配合になっています。一言で表すと、リバティアイランドによく似た血統構成を意識した、というところですね」との事だ。血統にさほど詳しくない方にも判りやすい例えを出してくれるのがありがたい。「この配合はこれから旬を迎えるのではないかと思っており、それを先取りしたのがこの仔です。ご覧の通り、良い馬が生まれてくれました。母カツンダモンに合う配合だと確信できたので、今年もインディチャンプを種付けして受胎しています」と、淡々とした口調ながら自信に満ちた表情で語ってくれた。馬体については「今はまだ少し小柄だけど、節々がしっかりとしているので、大きく育ってくれるでしょう。飛節の形や、繋ぎがゆったりしているところも良いですし、体形も抜群です。とにかく動きが軽いし、顔つきが上品なのも気に入っています」と続ける。たしかに、放牧地を走る本馬は、「駆け回る」というより「飛び回る」と表現したくなるほど軽やかな動きを見せてくれた。また、試合に備えて仕上がったボクサーのように細マッチョな馬体は、同時期のステイゴールドを想起させる。社長が「上品」と評したその顔が、傷だらけではあるが超絶美少年なのも見逃せない。馬の外見や特徴から能力・素質を判断する「相馬」において、顔を重視するホースマンは少なくないが、その点でも本馬は群を抜いているのだ。社長の「馬はブラックタイプでは走りません。配合と馬体自体をよく吟味して、検討をお願いしたい」という言葉を噛みしめつつ、本馬の成長過程に注目していただきたい。 募集馬情報ページはこちら 出資予約ページはこちら